ニットの糸引き・ほつれの直し方|引っ張ると穴になります
この記事の結論
飛び出した糸は絶対に切らないでください。とじ針で裏側へ引き込み、周りの編み目を寄せれば元に戻ります。
最終更新: 2026年8月10日
目次26項目
- 飛び出した糸は切ってよい? まず状態を見分ける
- 1本だけ輪になって出ている
- 周囲が引きつれている
- すでに糸が切れている
- 穴になっている
- ニットに糸引きが起きる原因
- 引っかけやすいのは指輪・爪・バッグの金具
- 編み目の粗いニットほど起きやすい
- 洗濯機の中でも起きる
- 飛び出した糸を直す手順
- 用意するもの
- 所要時間の目安
- どこまで戻るか
- 症状別の直し方
- 1本だけ飛び出した場合
- 広い範囲が引きつれた場合
- 糸が切れている場合
- 織物(シャツ・スカート)の場合
- 糸引きでやってはいけない4つのこと
- 自分で直せないときはどうするか
- かけつぎ(かけはぎ)という直し方
- 頼むときに伝えること
- ニットを引っかけないための着方・洗い方・しまい方
- 着るとき
- 洗うとき
- しまうとき
ニットから糸が飛び出したとき、やってはいけないことが1つだけあります。切ることです。
ニットは1本の長い糸を編んで作られています。切れば、そこから編み目がほどけます。逆に言えば、切らずに裏へ戻せば、たいていは元の見た目に戻ります。
飛び出した糸は切ってよい? まず状態を見分ける
切ってよい場合はありません。 ただし、状態によって直し方と戻り具合が変わります。作業を始める前に、どれに当てはまるか確認してください。
| 状態 | 直せるか |
|---|---|
| 糸が1本、輪になって飛び出している | 元に戻せる |
| 複数の糸が引かれ、周囲が引きつれている | ほぼ戻せる。時間はかかる |
| 糸がすでに切れている | 穴の拡大は止められる。跡は残る |
| 編み目がほどけて穴になっている | 自分では戻せない |
1本だけ輪になって出ている
最も多く、最も直しやすい状態です。糸は切れておらず、隣の編み目から引き出されているだけなので、裏へ引き込めば元の位置に戻ります。
周囲が引きつれている
糸が引かれると、その糸が通っている周りの編み目が寄せられて、生地がすぼまります。この状態は、飛び出した糸を裏へ入れるだけでは直りません。寄った編み目を横方向に少しずつ戻す作業が要ります。
すでに糸が切れている
切れた糸は元に戻せません。この場合の目標は「これ以上ほどけないようにする」ことに変わります。切れた両端を裏へ引き込み、裏側で小さく結んでください。
穴になっている
編み目が数段ほどけて穴が空いている場合、家庭での補修は難しくなります。かけつぎ(かけはぎ)を扱う店に相談してください。応急処置として、穴の周囲の糸を裏で留め、広がるのを止めておきます。
ニットに糸引きが起きる原因
糸引きは、編み目に何かが入り込んで引かれることで起きます。生地の弱さではなく、引っかける機会の多さの問題です。
引っかけやすいのは指輪・爪・バッグの金具
実際に多いのは、自分の指輪と爪、それにバッグの金具やファスナーです。着脱のときに袖口から手を通す瞬間、指輪の石座が編み目に入ります。
椅子の背もたれのささくれ、机の角のねじ、車のシートベルトの金具も原因になります。一度引っかけた場所は、同じ場所でまた引っかけます。 どこで引っかけたか思い出せるなら、その場所を先に直してください。
編み目の粗いニットほど起きやすい
ローゲージと呼ばれる、編み目の大きいざっくりしたニットは、目のすき間が広いぶん引っかかりやすくなります。デザインとして選んでいるものなので、避けるというより、扱いを変えるのが現実的です。
一方、ハイゲージの細かい編み地は引っかかりにくい代わりに、引かれたときに糸が細くて切れやすいという弱さがあります。
洗濯機の中でも起きる
他の衣類のファスナー、ホック、面ファスナーが回転中に当たると、簡単に糸を引きます。洗濯後に糸が飛び出していた場合は、たいていこれが原因です。
飛び出した糸を直す手順
とじ針で糸を裏へ引き込み、周囲の編み目を横に伸ばして戻します。 詳しい手順はこのあとの番号付きの説明にまとめています。ここでは必要なものと時間の目安を先に出します。
用意するもの
- とじ針(先が丸く、太めのもの)。または、ほつれ直し針
- かぎ針(細いもの)があると、太い糸を引き込みやすくなります
- 明るい照明。手元が見えないと編み目を追えません
ほつれ直し針は数百円で手に入ります。 先端に細かい返しが付いていて、糸を引っかけて裏へ通すための道具です。ニットをよく着るなら1本持っておくと、作業が一気に楽になります。
所要時間の目安
1本の糸引きなら5分ほどです。周囲が引きつれている場合は、少しずつ戻すので15〜20分見ておいてください。急ぐと必ず失敗します。
どこまで戻るか
糸が切れていなければ、ほぼ分からない状態まで戻ります。切れている場合は、跡が残ります。時間が経ったものでも戻りますが、着るたびに引かれて位置がずれるので、気づいたら早めに直してください。
症状別の直し方
1本だけ飛び出した場合
飛び出した糸の付け根、表から見て糸が出ている穴に、裏側からとじ針を通します。針の先に飛び出した糸を引っかけ、そのまま裏へ引き抜きます。
裏に出た糸は切らずにそのまま残します。表に戻り、糸が抜けた周囲の編み目を指で軽く広げて、密度をそろえてください。
広い範囲が引きつれた場合
まず引きつれの方向を見ます。糸は必ず1本につながっているので、寄った編み目を端から順に戻していきます。
引きつれの中心から外側へ向かって、編み目を1目ずつ指でつまんで横に引きます。これを両側に交互に行い、余った糸を全体へ散らしていきます。一か所で全部戻そうとすると、そこだけ緩みます。
最後に、裏から蒸気を軽く当てて落ち着かせます。アイロンの面は当てず、浮かせて蒸気だけにしてください。
糸が切れている場合
切れた両端を、それぞれ裏へ引き込みます。裏側で2本を1回だけ結び、結び目を小さくします。きつく結ぶと、そこだけ生地が引きつれます。
結んだあと、表から見て編み目が抜けている場所があれば、周囲の糸を指で寄せて隠します。完全には消えませんが、目立たなくはなります。
織物(シャツ・スカート)の場合
織物は縦横に糸が組まれているので、ニットのようにほどけていくことはありません。ただし引っ張ると、その糸が通っている一列全体が波打ちます。
とじ針で裏へ引き込み、生地を斜め方向に軽く引いて糸を分散させてください。ニットより戻りやすい代わりに、歪みが残ると目立ちます。
糸引きでやってはいけない4つのこと
飛び出した糸を切る。 最も多い失敗です。切った瞬間は綺麗になりますが、着るたびに編み目がほどけ、数回で穴になります。
引っ張って引き抜く。 抜けるはずがありません。糸は生地の一部なので、引けば周囲がさらに寄ります。
そのまま洗う。 洗濯機の回転で、飛び出した糸がさらに引かれます。直してから洗ってください。すぐ直せないなら、その糸を裏側に押し込んで、糸くずが出ないよう洗濯ネットに入れます。
アイロンの面を直接当てる。 引きつれを潰そうとして押し当てると、その形のまま固定されます。蒸気だけを浮かせて当ててください。
自分で直せないときはどうするか
穴になっている、糸が何本も切れている、目立つ場所で跡が許容できない。この3つのどれかなら、店に頼む判断でよいと思います。
かけつぎ(かけはぎ)という直し方
生地の目を1本ずつ拾って埋める、専門の補修技術です。うまくいけば、どこを直したか分からない仕上がりになります。 扱っている店は限られ、クリーニング店経由で外注されることが多い作業です。
料金は穴の大きさ、生地の種類、色柄の複雑さで決まります。必ず現物を見せて見積もりを取ってください。 電話だけでは金額が出ません。
頼むときに伝えること
- いつ、どうやって引っかけたか
- 自分で直そうとしたか、糸を切ったか
- どこまで戻したいか(分からなくしたいのか、広がらなければよいのか)
糸を切ってしまった場合は必ず伝えてください。 拾える糸が残っているかどうかで、直し方が変わります。
ニットを引っかけないための着方・洗い方・しまい方
着るとき
- 着脱の前に指輪と腕時計を外す。 糸引きの原因として最も多い動作です
- 爪が伸びているとき、袖に手を通す動きは特に危ないので、手を握って通してください
- 肩掛けバッグの金具が当たる位置を変える。同じ場所に当て続けると、そこだけ傷みます
洗うとき
- 裏返して畳み、洗濯ネットに入れる。 表面が他の衣類に触れなくなります
- ファスナー、ホック、面ファスナーのある衣類と一緒に洗わない。洗う前に留めておくだけでも違います
- 水流の弱いコースを選ぶ。回転が強いほど絡みます
しまうとき
畳んで棚に置きます。引き出しの中のささくれや、金属のレールに触れる位置は避けてください。 出し入れのたびに引っかかります。
ぎゅうぎゅうに詰め込むと、引き出すときに隣の服の金具に当たります。取り出すときは、上から順に持ち上げてください。
手順
- まず何もしないで状態を見る飛び出した糸がどこから引き出されたか確認します。焦って引っ張ると、周囲の編み目まで崩れます。
- とじ針で裏側へ引き込む糸の付け根に針を刺し、飛び出した糸を裏へ引き抜きます。専用のほつれ直し針があるとさらに簡単です。
- 表から編み目を整える糸を抜いた場所は編み目が詰まっています。指で軽く広げて、周囲と同じ密度に戻します。
- 周囲を横方向に少しずつ引く引き込んだぶん、周りの編み目が引きつれています。左右に軽く伸ばして糸を分散させます。
- スチームを当てて落ち着かせる軽く蒸気を当てると繊維が緩み、編み目が均一に戻ります。
よくある質問
- 飛び出した糸を切ってはいけないのですか?
- 切ってはいけません。ニットは1本の糸を編んで作られているので、切ると編み目がほどけて穴になります。しかも着るたびに広がります。必ず裏へ引き込んでください。
- ほつれ直し針とは何ですか?
- 先端が細かい返し(かえし)になっていて、糸を引っかけて裏へ通すための道具です。数百円で手に入り、とじ針より確実に作業できます。ニットをよく着るなら1本持っておくと安心です。
- 織物(シャツやスカート)でも同じですか?
- 織物は縦横に糸が組まれているので、ニットほど簡単にはほどけません。ただし引っ張ると生地が歪むので、やはり裏へ引き込むのが基本です。
- 引き込んだ跡が残ってしまいました
- 引き込んだ部分の編み目が詰まっているためです。周囲を横方向に軽く伸ばして糸を分散させ、スチームを当ててください。それでも残る場合は、一度洗って平干しすると馴染むことがあります。
- すでに糸を切ってしまいました。どうすればいいですか?
- 切れた両端を裏へ引き込み、裏側で結んでください。結び目は小さく、生地に響かない程度にします。そのうえで、編み目がほどけていく方向に穴が広がらないか、数日は着るたびに確認してください。広がるようなら、かけつぎに出す判断が必要です。
- ハイゲージとローゲージ、どちらが引っかけやすいですか?
- ローゲージ(編み目の粗いもの)です。目が大きいぶん、爪や金具が入り込みやすくなります。逆にハイゲージは引っかけにくい代わりに、一度引くと糸が細いため切れやすくなります。
- 洗濯で糸が飛び出しました。防げますか?
- 防げます。裏返して洗濯ネットに畳んで入れてください。ネットに入れず他の衣類と一緒に回すと、ファスナーや面ファスナーに引っかかります。
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